西表島案内
西表島の人達は、ずっと以前から自分達の島に野良ネコともう一つ別のネコが住んでいることを知っていた。それで、野良ネコや野ネコのことをピンギマヤーとよび、もうひとつのネコをヤマピカリャーとよんで区別していた。どちらも島の方言なのだが、ピンギマヤーとは「逃げたネコ」という意味である。 逃げることを、この地方ではぴんぎるとか、あるいはひんぎると言っている。 マヤーとは、やはり方言で、ネコを意味する。語源は、中国あたりから来たのではないかと思うのだが、ネコのことを沖縄では広くマヤーとよんでいる。「与那国のマヤ小ー(ぐわー)」、「マヤユンタ」などと、ネコを題材とした民謡もあり、日本本土や外国などと同様に、ネコは沖縄でも古くから人間生活とかかわりを持った動物だったようである。 ヤマピカリャーとは、「山の中で光るもの」という意味である。山中で偶然出会った時、ヤマネコの目が金色に光るから、そうよぶようになったのだと思う。動物の目は一般に夜、ライトなどをあてると光って見え、特に夜行性のコノハズクやムササビなどでは、それが顕著なのであるが、西表島には、そういう動物が少なく、山で会った時、目が印象に残るものといったらヤマネコぐらいしかいなかったために、特にヤマネコのことを「ヤマピカリャー」とよぶようになったのであろう。ヤマネコのことを、ただ単にヤママヤーとよぶ人もある。まさに「ヤマネコ」の意味なのだが、これはもともとあった方言ではないようだ。